私が大学生の頃、近所の居酒屋でアルバイトをしていました。

担当はホールです。

注文を聞いたり、料理やドリンクを運んだり忙しく働かせていただいていました。

年末が近づくと、忘年会シーズンで予約が沢山入ります。

宴会料理を扱うのは難しく大変で私はとても苦手でした。

宴会に使う座敷も広いとは言えず、満席になるとお客さんの間を跨いで移動するのでドリンクを持ちながらだととても大変でした。

そんなある宴会を担当したとき、飲み放題コースのお客さんで何度もキッチンと宴会席を往復して今までで一番ではないかと思う程忙しかったことがありました。

私はかなりへとへとで宴会が終盤になる頃、若干集中力も切れ始めていました。

ラストオーダーのドリンクをお盆に乗せたとき、「なんだか嫌な予感がするな」と思いました。

なんとなく集中力が切れていたのを感じたのですが、特に考えず身体が覚えた動きに任せてお客さんのところに行きました。

「おまたせしました」と頼まれたドリンクを一つずつ渡していたとき、お盆に乗っていた最後の一つのドリンクがずるっとすべってしまい、そのまま一人の客さんの上こぼしてしまいました。

その客さんは完全にびしょびしょです。

私は一気に血の気が引き、「すみません」の連発です。

しかしお客さんはみんな大爆笑。

まさかでした。

びしょびしょになってしまった方はテンションがかなり下がってはいたものの、一切私を責めず、「なんでまた俺なんだ」と言って、「家が近くだから着替えてくる」と一度お店を出て行きました。

お客さん達は「なんでいつもこういうのあいつなんだろうね」とずっと笑っていて、「気にする事無いよ」となぐさめてくれました。

その後、私がドリンクをかけてしまったお客さんはジャージに着替えて帰ってきて、また楽しそうに飲んでいました。

そして何も無かったかのように飲み会が終わり、お会計も済ませ、みなさん楽しそうに帰って行きました。

私は店長からも怒られる事は無く仕事を終えました。

私はこのとき本当に救われた立場ではありますが、ずっとこの事は忘れず反省しています。

少しでも集中力が切れてるな、とか、嫌な予感がするな、と思った時こそ、気をつけなければ行けない事がわかりました。

身体の動きだけに任せず、しっかり頭で考えて行動するようにしています。

そして、私がお店の人の失敗で被害を被ったとき、笑って許すよう心がけています。

実際、そうやって許すことによって長いおつきあいをさせてもらっている方もいます。

これからも仕事に対する姿勢として、自己管理を怠らないようにしたいです。