半年ほどティッシュ配りのバイトをしていた頃があります。

ティッシュ配りのバイトを始めた当時は、適当に道行く人に対してティッシュを差し出していました。

ある日のこと、何気なくティッシュを差し出し時、私の人の腕が通行人の身体にバシッと当たってしまったのです。

一見普通のサラリーマンでしたが虫の居所が悪かったのか、ものすごい剣幕で怒り出しました。

私はとにかく頭を下げ続け事なきを得ましたが、それ以降はティッシュを差し出すタイミングなどには特に気を付けるようになりました。

ちょっと前までは、ティッシュ配りのバイトなんて誰でもできるとタカをくくっていたのですが、(まあ、本当に誰でもできるんですが…)やはりどこの世界でも「プロフェッショナル」と呼ばれる人物がいることを知りました。

「ティッシュ配りの鬼」との異名を持つ30代後半の男性がいることを知り、現場に同行させてもらい、仕事ぶりをとにかく勉強させてもらいました。

その人は、通行人の視線や表情などから、ティッシュを受け取ってくれるかどうかを判断できるだけでなく、半ば強制的に、しかも受け取った本人は自分の意志でティッシュをもらった…と錯覚させるようなテクニックまで身に着けていたのです。

仕事内容を覚えるだけなら、単なる先輩に教えてもらえばよいだけですが、ワンランク上の技術を身に着けたいなら、やはり仕事ができる先輩に学ぶのが一番だと分かりました。

たかがティッシュ配りといった認識は、もはや私の頭の中には存在しません。