あれは、高校生の頃、初めてバイトした時の事でした。

お弁当屋さんで、主に接客。

注文を聞いて、中で作る店長に伝える。

会計をしてお金を頂き、おつりをお返しする、というのが主な仕事でした。

後は簡単な盛り付けと、ライスをよそう事です。

ですが仕事に慣れてきた頃、色々な失敗が出てきました。

私が入っていたのは放課後で、混む時間帯なのですが、中にはライスだけを注文される方もいらっしゃったんです。

とにかく待っている方の人数を減らしたくて、私はライスだけを注文された方にライスをよそい、「ライスを2つご注文の方ー!」と大きく声を出しました。

店先で何人ものお客様が待っておられたのですが、皆さん怪訝な顔をされています。

ライスを注文なされた方もがです。

何がいけなかったのか分からなかった私に、店長が中から私を呼びました。

他に待たれているお客様が多くおられるのに、よそって終わるライスだからといってすぐにお渡ししてはいけない、との事でした。

その時は「どうして?その方が店の前で待ってるお客様が減って、私達もアセる事ないのに」と思っていました。

けれどもこれは、「待っているお客様の気持ち」になってみれば、すごく簡単で当たり前の事だったんです。

その方より先に注文されている方にしたら、ライスだけの注文とはいっても決して感じの良いものではありませんし、注文された方にしてみても、待たれている他の方に申し訳ない気持ちになった事と思います。

前に注文されている全員が終わってからでなくても良いのですが、お渡しするタイミングや他のお客様への配慮なども考えなくてはいけないのだな、ととても勉強になった出来事でした。

もう1つ、おつりをお渡しする時に、10円多くお渡ししてしまっていたお客様がおられました。

私は気付かなかったのですが、トラックに乗られていたそのお客様が、「さっきのおつり、10円多かったよ」と返しに戻ってきて下さったので気付きました。

現場に向かう途中で引き返し、戻って来て下さったと気付き、感謝と、とても申し訳ない気持ちになりました。

おつりを少なく渡してしまう事もお客様にご迷惑をおかけしてしまう事ですが、10円多くお渡しする事でご迷惑をおかけする事もあるのだなぁ、ととても反省した出来事でした。

今でも、その2つの失敗は、私の教訓として心に残っています。