学生の時に、喫茶店でアルバイトをしていました。

そのお店はビルの地下にありました。階段を降りて店内に入ります。

3時過ぎのことでした。いつものように、近くの会社員が多く来店されています。

お店の中で仕事をしていると、階段の方からものすごい音がしました。

ドタッと言うか、バタッと言うか。

なんだろうと思って、階段の方へ行くと、おじいちゃんが倒れています。

どうやら、階段で転んでしまったようです。

連れの人が「大丈夫?大丈夫?」と言っています。

なんと、頭から血が出ています。

大変だ!

そこに居合わせた人が皆、慌ててしまいました。

救急車!

誰かが言いました。

そうだ、救急車呼ばなくちゃ。

私は急いで、店内に戻って救急車を呼ぼうと公衆電話へ走りました。

ガチャ。

「ただ今の東京の天気は晴れ。降水確率は・・・。」

気が動転してしまって、天気予報に電話してしまったのです。

あまりのことに何が起こったか、すぐに理解が出来ませんでした。

やっと我に返り、110番に電話しました。

しばらくして、救急車が到着しました。

私は道路で待っていて、救急隊の人を案内しました。

おじいちゃんは担架で運ばれて行きます。

連れの男性も一緒に救急車に乗り込みました。

その後、おじいちゃんはどうなったのか、わかりません。

無事だといいんですが。

救急車を見送って、階段に血がついてしまったので、拭き取りました。

おじいちゃんが持っていた新聞が落ちていました。

血で真っ赤になっていました。

他のお客さんも動揺していたようで、うろうろ歩き回って様子をうかがっていました。

病人やけが人が発生した時は救急車を呼ぶとはわかっていてもいざとなると、慌ててしまうんだなと実感しました。

また、ひとりで全部やろうとしないことも大切だと思いました。