まだ私が学生だった頃のお話です。
遅刻常習犯気味であった私は、学校でもバイトでもいつも時間ぎりぎりでした。
なのでいつも息を切らしながら私の中の全速力で走って学校やバイト先に入っていたので、「救心」というあだ名をつけられていました。
近所では有名で大きいパン屋でバイトさせてもらっていた時の事。
その時は真冬で、学校が冬休みで、がっつり午後からシフトが組まれていました。
寒さに弱い私はバイトの時間までこたつの中に入り込みゆったりまったりと飼い猫と遊んでいましたが、そのこたつの魔力に勝てず、そのまま眠ってしまいました。
はっと気が付いた時には2時間も寝ていて、時計を見たらバイトの時間まであと20分程というところまでになっていました。
自宅からバイト先まで自転車で30分・・・
私はいそいで部屋着から私服へ、寒いのでがっつりコートを着て自転車にまたがり、本当は危険ですが全速力でこぎました。
リュックを焦って確認もせず背負ったので、チャックが閉まっていないことに気が付かず、物を落とすわ、田んぼに落ちかけるわ、で、一人で大騒ぎ状態でした。
コートもしっかりと着ていたのにブルブル震えながら頭の中は時間のことでいっぱいでした。
そうこうしながらバイト先に滑り込みました。
ぎりぎり3分前に着きました。
謝罪しつつ、スタッフルームに向かいました。
バイト仲間から「大丈夫?」と失笑しながら言われました。
その時の私の顔は鼻水と冬の寒さの風を目いっぱい受けたのがわかる真っ赤な頬と耳と鼻。
まるでトナカイみたいで「クリスマス終わったのに」と笑われてしまいました。
ハハハ、と自分でも笑いながらとりあえず制服であるエプロンをかけるためにコートを脱いだその時
「!!!」
その時代はレギンスが流行っていました。
あったかいレギンス。
10分丈、160デニール。
私はレギンスの上にスカートもショーパンも穿かず、どこかの体張ったお笑い芸人のような恰好でした。
それを見たバイト先のスタッフ全員に大爆笑。
なんかやたら、お尻がすーすーするなとは思っていたのですが。
しかも最悪なことにバイト先の制服はエプロンと専用のセーターのみ。
下半身を守るにはとにかくレジから動かないことでした。
そんなこんながあって今は時間厳守、10分前行動が身につきました。
痛い目にあって漸く私の悪い癖は治りました。